「DXについて理解を深めたい」
「DXの本質が知りたい」
「自社でDXに取り組む際の手順を知りたい」
DX(デジタルトランスフォーメーション)は企業や組織の躍進にとって不可欠な存在となっています。
そんなDXについて、なんとなくすごさはわかったけれども、自社とは遠い存在だと感じている人も多いのではないでしょうか。
僕もDXのセミナーや企業へのアドバイスをおこなっていますが、本当の意味を理解できている方は少ないと感じます。
そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- DX(デジタルトランスフォーメーション)を簡単におさらい
- DXとは簡単に言うとITを使って楽して儲ける体質をつくること
- DX改革が簡単ではないと言われる理由
- 【組織別】DX化が成功した6つの具体例
- DXを実現するために必要な5ステップ
難しく説明されがちなDXですが、実はとても簡単です。ぜひ最後まで読んで理解を深めていってください!
また、DXについて「社員にも講演や研修をしてほしい!」という方は、出張セミナーも承っていますので、お気軽に問い合わせください!
\ DX推進コンサルタントが解説! /
DX(デジタルトランスフォーメーション)を簡単におさらい
企業や組織がビジネスの世界で生き残るために、DXは必要不可欠な存在となってきています。
DXをかんたんにおさらいするため、よくある疑問を以下の表にまとめました。
DXのよくある疑問 | 回答 |
---|---|
DXは何の略? | デジタルトランスフォーメーション |
Xなのになぜトランス? | 英語圏ではトランスをXと表現するため |
IT化との違いは? | IT化はデジタル化が目的 DXはデジタル化の先の利益が目的 |
ここはあまり深く考えず、そういうものなんだと感じてもらえればOKです。
DXとは何かといった難しい話は置いておいて、さっそく定義の理解へと進んでいきましょう!
DXとは簡単にいうとITを使って楽して儲ける体質をつくること
IT化をして儲けられたらDXに成功したと勘違いしている組織が多く見受けられます。実はそれでは不十分で、儲ける体質を浸透させるところまでが一連の流れです。
DX完了までの3ステップは以下になります。
- アナログをIT化する
- ITの力を借りて楽して儲ける
- 儲ける体質を浸透させて他のビジネスにも活かす
これら3つがセットになってこそDXの完了といえるでしょう。
どれかひとつでも欠ければDX化とは言えません。大切なポイントなので、ぜひ覚えておいてください。
なお、DXの定義や活用事例については友村晋のYouTube動画「DXとは?取り組むべき理由とは?具体的な活用事例を初心者にもわかりやすく解説、デジタルトランスフォーメーションのセミナー講師が定義を説明」でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてくださいね!
DX改革が簡単ではないと言われる理由
社内でDXが進まない原因は主に2つあります。
- 社長や役員がDXを理解していない
- 抵抗勢力の存在
DXの定義があいまいだと、指揮を取るべき人たちが間違った方向へ導いてしまうでしょう。そのため、私が提唱する「ITを使って・楽して儲ける・儲かる体質を作ること」を周知させることが大切となります。
そうでないとITが得意だから、という理由だけでDXの責任者を任命してしまうでしょう。実際には儲けることが大切なキーワードなので、営業やマーケターを得意とする人材が適任となり得ます。
また、DXが進むとマズいと考える人たちがいるのも事実。特徴は以下のような人たちです。
- 自分の仕事が無くなるのが怖い
- 変化が嫌い
- 危機感がない
こういった人たちは、さまざまな理由をつけてDX改革を防いできます。
きっとあなたの身近にもこのような人たちがいるのではないでしょうか。これら2つの理由からDX改革が進まない、簡単ではないといった現象がおきています。
ちなみに、企業がDXを推進できない原因については、友村晋のYouTube動画「DX#3 企業のDX化が推進できない!根本的な原因はこの2つだ!」でも詳しく解説しています。
また、私が開催しているDXセミナーでは、DX化に失敗しないための基礎知識やノウハウをお伝えしています。出張講演も承っていますので、ぜひお気軽に問い合わせください!
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【組織別】DX化が成功した具体例を6つ紹介
日本に限らず、DXは世界中の企業や組織で取り入れられています。
DXを進められない組織は取り残されていく可能性があるため、まずは成功例を参考にしてみましょう。
- データをもとに顧客の好みに合わせたセールスを展開
- 勘に頼らず数値化することにより売上アップ
- アプリでデータを集めて成功確率アップ
- 国政選挙がオンラインで投票可能
- 出生届は病院側がオンライン申請
- 免許証を持参しなくても車の運転が可能
どれも素晴らしいアイデアから実現したDX化です。1つずつ詳しくみていきます。
企業編1.データをもとに顧客の好みに合わせたセールスを展開
アメリカにあるウォルマート(スーパーマーケット)はサブスク(月額会員ビジネス)を用いてDX化に成功しました。
ウォルマート・プラスという月に8ドルくらいのサブスクで顧客を囲い込み、デジタルデータを活用することでDXが浸透。改革後に会員は以下のサービスが受けられるようになりました。
- ネット通販ページで注文したら近くの店舗で受け取れる
- 提携のガソリンスタンドで割引が受けられる
- レジに並ばなくてもスマホで決済できる
これらにより多くの顧客データを入手。その結果、以下2つのビジネスを新たに展開できるようになりました。
- データをもとにネット通販で見込み客に広告を打つ
- データをもとに新規ビジネスを立ち上げられる
ウォルマート・プラスは会員が1,000万人以上いると言われているため、データは豊富に溜まっています。そのデジタルデータを活かせばDXは朝飯前というわけです!
なお、企業編の具体例については友村晋のYouTube動画「DX#4 DXの成功事例3つ、これがデジタルトランスフォーメーションの具体的な成功事例だ!」でも解説しています。ぜひチェックしてみてください!
企業編2.勘に頼らず数値化することにより売上アップ
配車サービスのUber(ウーバー)もDXを活用して躍進している企業の1つです。
Uberが登場する前、タクシーは勘や経験に頼って人がピックアップできそうな場所を走っていました。しかしDX化により、高確率でお客を拾えるような成功確率の高いビジネスへと発展したのです。
- アナログ時代:「金曜の夜はこの辺をウロウロしていれば人を拾えるだろう」
- DX改革後:「代々木駅の西口では、金曜日の9時くらいに待機していればお客様を拾える確率が90%」
Uberは世界で1日3,000万台も走っており、すべてがデジタル管理となっているため、利用者が多ければ多いほどデータが蓄積されるというわけです。
このように多くの行動データがあれば確率の高いところに労力を費やせるため、経営効率を高められます!
企業編3.アプリでデータを集めて成功確率アップ
私たちにも馴染み深いコカ・コーラを販売している日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニーの日本法人)は、自販機ビジネスでDXを加速させています。
Coke ON(コークオン)というアプリを運営しており、コカ・コーラの自販機に近づくとBluetoothでつながり、アプリ上でタップしたらお金を入れなくてもジュースが出てくるというサービスです。
実はこの事例のDXは3つに分解することができます。
- 「どこで」「どのような人」が「何の」ジュースを買っているかデータを溜める
- もし朝9時にコーヒーがよく売れるなら近くに会社があるのでは?と分析
→ほかの通勤路に自販機を展開する - お得な月額固定の料金で毎日コーヒー1缶がもらえるサービスを展開して顧客を囲い込む
このようにデジタルデータを集めて活用することで、ターゲットにあわせた自販機を展開できるわけです。
ちなみにCoke ONのサブスクは、月額3,300円(税込)で日本中のコカ・コーラ自販機でドリンク1日1本無料というサービスを受けられます。
このアプリに契約している人は、出先で他社の自販機を見つけたとしても買わず、きっと「コカ・コーラの自販機を探そう」となるでしょう!
デジタルデータを軸に、儲ける体質を浸透させている素晴らしい事例です。
政府編1.国政選挙がオンラインで投票できる
ロシアの隣国であるエストニアでは、選挙がオンラインで投票可能です。
国が生き残るために楽を追求した結果、国民が投票所にいく必要がなくなりました。
いくらでも不正ができそうな気もしますが、何度も投票可能で最後に入れた一票が活かされるシステムになっているので安心です。
また、スマホやパソコンなどのデジタル機器が苦手な人を置き去りにしているという声が聞こえてきそうですが、ここにもこだわっているのがエストニアです。
今まで通り投票所も設けて、リアルでもオンラインでも好きな投票方法を選ぶことができます。
このようにデジタルが苦手な人にも配慮した結果、オンライン投票が成立したといえるでしょう!
なお、政府編におけるDX化の具体例については、YouTube動画「DX#9 世界一DX化されたITの国エストニアを訪問、デジタルトランスフォーメーションのやり方をどう学ぶべきか」でも詳しく解説しています。実際に現地へ出向いて確認してきたので、ぜひ参考にしてください!
政府編2.出生届は病院側がオンライン申請してくれる
DX大国のエストニアでは、出生届もオンラインで完結します。
しかも、国民主導ではなく病院側が出産と一緒に対応してくれるんです!
日本の場合は出産後14日以内に役所へ出向いて提出する必要があり、産後の体には大きな負担です。
そういったことも考慮したDX化はとても素晴らしい取り組みでしょう。
届け出をしてくれたあと、すぐに政府から出産おめでとうというメールが届きます。マイナンバーカードでさまざまな情報共有ができている恩恵です。
政府のDXへの取組みは私たちの生活を一変してくれる可能性を秘めています。
政府編3.免許証を持参しなくても車の運転ができる
世界一DXが進んでいるエストニアでは、日本のように運転免許証を持参して車を運転する必要がありません。
こちらもマイナンバーカードで車のナンバープレートと連携しているためです。
たとえば、エストニアで不審な車を見つけた際、以下のような情報が瞬時にわかります。
- 運転免許証の有無
- 違反歴
- 逮捕歴
そのため、日本のようにわざわざ車を止めて免許証をチェックする必要はありません。そもそも不審な人が運転する機会も減るでしょう!
その結果、警察の業務が効率化され、本当に必要な仕事に時間を費やせます。
【実は簡単?】DXを実現するために必要な5ステップを解説
これからDXを推進していきたいのであれば、以下のステップを踏んでいくことで成功確率が高まります。
- なぜDXをやるのかという会議を行う
- DX事業部を作る
- アイディアを出し合う
- ツールを選ぶ
- やってみる
DXのセミナー講師でもある私が提唱する5ステップです。1つずつ確認していきましょう!
なお、これから解説する内容は友村晋のYouTube動画「DX#6 社内DX改革って結局この5つをやったら完了。具体的なやるべき5ステップ」でも詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてくださいね!
1.なぜDXをやるのかという会議を行う
まずは組織全体で共通認識を持つことが大切です。
DXをやる理由を明確にしなければ、違う方向を向く人やDXを目的ととらえる人も出てきてしまうからです。
DXは目的ではなく、会議で定めた目的を達成するための手段です。
まずは話し合いでこの目的を明確にすること。なぜ自分たちがDXをやる必要があるのかをハッキリさせることがすべての始まりです。
これ無くしては誰もついてこないので、絶対に飛ばさないようにしてください!
2.DX事業部を作る
DXをやる目的がハッキリしたら、次は専門の事業部を作りましょう。
わざわざ事業部を作る必要性に疑問を感じる人もいるかもしれませんが、DXは中長期(2~3年)かけてつくるものです。
儲ける体質を浸透させるには短期での成功は難易度が高すぎます。そのためまずは、DX事業部を作ろうというわけです。
ちなみにDX事業部長に適任な人の特徴は以下になります。
- マーケティングの知識を持っている人
- 会社の事業の全体像をおおよそ把握している人
- 人望がある人
特に大切なのは人望です。DXは組織全体に関わることなので、各部署からしたわれるほどの人間力のある人が理想です!
DX事業部を作り、適任のリーダーを立てたらステップ2が完了です。
3.アイディアを出し合う
DX事業部が完成したら最初の新規事業で何をするかアイディア出しを行いましょう。
その際には具体例が必要となるため、各業界の成功例を持ち合うのがおすすめです。
- 同業界のDX成功例
- 異業種のDX成功例
これら両方を参考にするのが成功のポイントです。同じ業界のDXにとらわれていては、新しい発想は生まれません。
これだという事例が見つかったら、ビジネスの基本であるTTP(徹底的にパクる)を実践しましょう!
成功するには真似ることが最大の近道です。1つ軌道にのせれば、その後はデジタルデータをもとに事業を作れるため、ステップ3では具体例を用いたアイディア出しを徹底していきましょう。
4.ツールを選ぶ
アイディア出しが完了したら、自分たちのビジネスに必要なツール選定へと移ります。
DXにはデジタルツールが不可欠です。しかし「デジタルツール=高額だから取り組みが大変」と思う必要はありません。
たとえば、何百万円もするビジネスツールがあるなか、ホームページ作成は10万円程度です。ネット通販のホームページを立ち上げて、既存のアナログ客を流していけば十分にビジネスが成立します。その他、LINEを活用すれば無料でやることも可能です。
このように、まずは高額なツールに後ずさりすることなく、自分たちのビジネスに合うツールを選定することが大切です!
ちなみにビジネスは新規顧客を狙うより、既存の顧客へアプローチしたほうが圧倒的に楽です。まずは今いるお客にできるビジネスアイディアを軸にして、ツールを選定することをおすすめします。
5.やってみる
ツール選びができたら、実際にビジネスを展開しましょう。
最終的には、やってみなければ成功するかどうかはわかりません。この段階で大切なことは以下のふたつです。
- 実際に売上が立つのか
- 思ったより売上が立たないのか
しっかりと売上が立てば成功といえるでしょう。DXの定義(ITを使って・楽して儲ける・儲かる体質を作る)でいう、ステップ2の楽して儲けるまでは完了です。
そして儲ける体質を作るところまでいくには、3番目のアイディア出しから5番目のやってみるまでを繰り返すこと。デジタルデータを使い、実行と改善を繰り返すことで成功確率を高められます。
以上の流れで儲ける体質が浸透すればDXの完了です!
DX推進を簡単にする抵抗勢力との付き合い方
DXのように、会社に変化をもたらすものを取り入れるとき、社内に必ず抵抗勢力が生まれます。
そこで、新しい取り組みや社内改革に反対してくる人には、以下の9つのやり方で対処しましょう。
抵抗勢力への対処法 | 内容 |
---|---|
抵抗勢力がいる前提でDX改革を始める | 人間は本質的に変化を嫌う生物であることを念頭におき、改革を進めていこう。抵抗勢力は必ずいると思って進めれば、精神的にも楽になる |
抵抗している本当の理由を見抜く | 表面上の意見は本音が反映されていないことが多いため、コミュニケーションを重ねて発言の本質を見抜き、不安を取り除いてあげよう |
なんで?という質問を繰り返す | DXへの反対意見に対して「なぜそう思うのか?」を繰り返して、建設的な議論をしよう。けっして論破はせず、口調や発言のタイミングに気をつけよう |
プチ成功体験を祝う | DX推進に慣れていない社員に自信をつけてもらうためには成功体験が必要。小さなことでも何かを達成したら、メンバーでお祝いしよう |
共犯にする | 抵抗勢力の人たちにDXに関する意見を求めて、改革の仲間にする。アイデアや意見を言わせて一緒にDXを進めるように仕向けよう |
何回も言う | 1回言っただけで伝わる人はいない。6回言ったら6割伝わるくらいの気持ちで何回も同じことを繰り返し伝えよう |
DX改革の必要性を示す | 会社全体にとってなぜDXをやらないといけないのかを、社員に納得してもらおう |
DXの全容を見せる | ゴールの見えない努力を強要しても社員は動かない。どういうゴールに向かってDXを推進しているのかを伝えよう |
共感する | 新しい変化を起こしたくない人の気持ちを受け入れたうえで、DXに取り組む目的や重要性を伝えよう |
僕も企業のコンサルティングをしているなかで、DXに限らず新しい取り組みに反対してくる人をたくさん見てきました…!
『抵抗勢力との向き合い方』を出版されている榊巻 亮さんによると、社内DXが成功するかどうかはアイデアではなく、現場のやる気で8割決まるそうです。
これらのことから、DX改革に抵抗勢力はつきものであり、反対派を味方に変えていくことは必須といえるでしょう。
ぜひ本記事の内容を参考にDXの本質を理解し、社内改革を進めていきましょう。
なお、友村晋のYouTubeチャンネルでは、DXやAIに関する最新情報を定期的に配信しています。見逃さないよう、ぜひ下のボタンからチャンネル登録してくださいね!
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また、DXについて「社員にも講演や研修をしてほしい!」という方は、出張セミナーも承っていますので、ぜひお気軽に問い合わせください!
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