「リープフロッグ現象について知りたい」
「リープフロッグ現象の事例を知りたい」
「リープフロッグ現象による日本への影響は」
「リープフロッグ現象」は、新興国や発展途上国で起こる現象です。
今後ビジネスで広く使われると予測できる言葉で、2030年に向けて皆さんに知っておいてほしいと考えています。しかし、聞き慣れない言葉でありよくわからない方も多いでしょう。
そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- リープフロッグ現象とは?新興国にはデメリットなしの発展モデル
- リープフロッグ現象の事例5つ
- アフリカなどで起こりやすい理由3選+α
- リープフロッグ現象が今後予想される国や地域
- 新興国・発展途上国のリープフロッグ型発展に対して日本人がすべき対策3選
リープフロッグ現象は、今後も世界に広がり、やがて日本へ影響を及ぼすと考えられます。
記事を参考にリープフロッグ現象の対策を考えていきましょう。
なお、これから解説する内容は、関連動画「リープフロッグ現象とは?アフリカや中国で何が起きている?2021年から流行るキーワード」でも解説しています。記事とあわせて復習にお使いください。
リープフロッグ現象とは?新興国にはデメリットなしの発展モデル
リープフロッグ現象とは、インフラが整備されていない新興国で、最先端のテクノロジーが急速に発展することを意味します。
「leap」=跳びはねる・「frog」=カエルで「カエル跳び」という意味です。
発展の程度が、カエル跳びの様子に似ていることから名付けられました。「リープフロッグ型発展」と呼ばれることもあります。
先進国が「先進国」と呼ばれるのは、以下のような発展をしてきたからです。
- 水道や電気が通り生活の基盤ができている
- 物流や交通の便が整っている
- モノや情報が増えていく
先進国では、電話の発明から固定電話網の敷設まで100年以上かけ、段階的に普及してきました。
リープフロッグ現象では先進国のような過程をたどらずに、「カエル跳び」のような急速な文明の進化が見られるのです。
このような進化により、固定電話が使えない新興国・発展途上国でも、スマートフォンの普及は先進国と変わりない水準となっています。
リープフロッグ現象の事例5つ
リープフロッグ現象は新興国・発展途上国で起こるのが特徴です。以下で具体的な事例を5つ紹介します。
- モバイル送金サービス
- 医療分野でのドローン活用
- 生体認証を活用した身分証明システム
- ライドシェアバス
- 都市監視システム
一つずつ詳しく見ていきましょう。
1.モバイル送金サービス
ケニアの通信会社とイギリスの通信会社が共同で立ち上げた電子マネーサービスに、M-PESA(エムペサ)があります。
携帯電話と身分証明書があれば、お金の支払いや受け取りなどができるシステムです。
途上国では銀行口座を持たない人が多いですが、スマートフォンは普及しています。そこで、出稼ぎに行った父親などが家族へ送金する手段として利用するのです。
M-PESAは税金の徴収にも使われており、インフラ整備が加速した要因の一つとなっています。キャッシュレス文化は日本より普及しているといえるでしょう。
2.医療分野でのドローン活用
ルワンダではアメリカのベンチャー企業による支援で、医療分野のドローンが実用化しています。
ドローンは時速120kmで飛び、目的地まで来ると輸送品を投下して届けます。
WHOによると、アフリカ諸国の妊産婦死亡率は、世界で最も高い分類に入っており、主な死因は分娩後の出血です。輸血手段がないことが要因の一つとされています。
輸血用血液は温度管理をして輸送する必要があります。しかし、ルワンダは道路がなかったり、あっても整備されていなかったりする場所が多いのです。さらに、車での輸送はリスクやコスト面の問題も伴うため、ドローンが使用されるようになりました。
今後アフリカの技術者が来日し、日本人にドローンのノウハウを伝授する「リバースイノベーション」が起きる日も来ると予想します。
3.生体認証を活用した身分証明システム
インドではアダール(またはアドハー)と呼ばれる生体認証を活用した身分証明システムが構築され、2010年より登録が開始されました。システムは以下の問題があり導入されています。
- 戸籍制度や個人識別番号が確立していなかった
- 給付金の不正受給が蔓延していた
- 銀行口座開設や携帯電話の加入が一部の国民に限定され、格差が拡大した
登録すると、携帯電話料金の支払いは登録証明書と指紋認証で完結します。
アダールの導入でさまざまな課題が解消されるようになり、経済や教育、福祉などにメリットをもたらしているのです。
4.ライドシェアバス
ナイジェリアでは自動車保有数が増加しています。交通インフラも整備されていないため、道路の交雑状況が著しい状態でした。
そこで混雑解消を目的としたバスサービスが開始されています。
乗客はアプリをダウンロードし、乗車地から目的地までのバスの希望時間を予約できます。所要時間やバス料金の表示、料金の支払いがアプリで可能です。
バスの所有者(個人および団体)はプラットホームに車両を無料登録でき、収入の確保も目指せる仕組みです。乗客、バスの所有者双方にメリットがあります。
5.都市監視システム
パキスタンのラホール州は、経済の急成長にともない交通量が増加しています。
自動車、バイク、バスのほか馬車も通行する状態です。
さらに運転手の多くは免許がなく、交通違反が多発。テロや犯罪なども多く、治安の悪さも問題となっていました。
そこで条例の設置とともに、州内の監視体制やシステムが構築されました。カメラを通して不審者や犯罪活動、交通違反の監視をしています。システムの導入で交通違反や交通事故は減少しました。
参照:新興国・都市におけるリープフロッグに関する調査研究/国土交通省
なお、フューチャリスト友村晋のYouTubeチャンネルでは、これからの時代を生き抜くために知っておくべき情報をわかりやすくお届けしています。
中高生にもわかるように解説しているので、ぜひ親子で活用していってくださいね!
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リープフロッグ現象がアフリカなどで起こりやすい理由3選+α
新興国や発展途上国のリープフロッグ現象は、以下の1〜3の3つの条件がそろうと起こりやすいといわれています。+αは、今の時代にマッチしているのが理由です。
- インフラが整っていない
- 英語圏である
- 規制緩和している
- 【+α】導入にお金がかからない
それぞれ解説していきますね。
1.インフラが整っていない
新興国の多くは発展途上であり、インフラが整っていません。
国民がインフラなどに不満を持っているため、イノベーションが起きるのです。
日本のようにインフラが整っていると、イノベーションは起きにくいといえます。
また、国民のニーズがシンプルであるため、コストを抑えた開発が可能です。
2.英語圏である
世の中のテクノロジーの多くは英語圏で生まれています。
英語表記の物が多く、英語を使っている人は受け入れやすいでしょう。
ケニアや南アフリカ共和国などは、英語を公用語もしくは第二言語としています。そのため情報が入手しやすく、理解もしやすい背景があります。
3.規制緩和している
既得権益があると規制緩和は進みにくいと考えます。新興国は既得権益が少ないため、新しいサービスやビジネスを展開しやすい環境なのです。
インフラが整備されているのは、既得権益者が関与しているためです。
既得権益者は自分たちを守るためさまざまな規制をします。
たとえば、日本の白タクです。Uberのようなサービスが展開されるとタクシー業界は稼げなくなることが予想されるため、白タクは規制されているのです。
規制緩和をしている国は、先進国ですでにあるIT技術を応用しやすく、開発費や人件費などコストをかけずにサービスを展開できます。
4.【+α】導入にお金がかからない
これまでお伝えした以外でもう一つ大切なことがあります。
それは、導入にお金がかからないことです。
現代はハードウェアの時代ではなくソフトウェアの時代であり、先進国の技術をコピペできてしまいます。そのため安いコストでインフラ改革を実現できるのです。
アフリカだけじゃない!リープフロッグ現象が今後予想される国や地域
リープフロッグ現象が起こるのは、アフリカ諸国だけではありません。
人口が多く、インフラが整備されていない地域は、規制も少ないためリープフロッグ現象が起こりやすいと考えます。今後リープフロッグ現象が起こると予想できるのは、以下の国々です。
- インド
- 中国の農村
- 東南アジア
- 中央アジア
- 西アジア
- 中東
- 南米
既得権益の少ないところ、新興国や発展途上国はどんどん起きるでしょう。
僕は中央アジアのウズベキスタンに行ったことがあり、発展する可能性しかないことを肌で感じています。
詳しくは関連動画「中央アジアの国ウズベキスタンに行ってきた!現代の日本人に必要だと思うことがたくさんあった。」でお伝えしています。これから急速に発展していく国の特徴がわかるので、ぜひ見てみてくださいね!
新興国・発展途上国のリープフロッグ型発展に対して日本人がすべき対策3選
世界のリープフロッグ現象に対し、日本はどうするべきでしょうか。僕は以下の3つが必要だと考えます。
- 規制緩和をする
- 会社単位で考える
- 課題発見力とリバースイノベーションをかけ合わせる
一つずつ解説します。
1.規制緩和をする
まずは規制緩和です。既得権益者を守るため、日本にはさまざまな規制があります。そのため古いテクノロジーを使わざるを得ず、イノベーションが起こりにくいのです。
リープフロッグは、国を跳び越えるという意味もあり、中国がその例です。
中国は日本を跳び越えめざましい発展を遂げています。日本は追い越されたことに気づかなかった、といえるのではないでしょうか。
日本人には難しいとの声もありますが、勤勉で真面目でアイデアを持っているので、規制緩和により対策できると考えます。
2.会社単位で考える
リープフロッグは国やインフラだけの話だけではなく、会社単位で考えるべきです。
今は日本のトップ企業が時価総額で海外企業に抜かれたり、買収されたりする時代です。
よい物を作ればブランドを守れるわけではなくなりました。
そこで日本人はこれまでの概念を変える必要があると考えます。車を例にあげてみましょう。これからの時代、車はソフトウエアで「乗れるスマホ」という概念にシフトしなければならないのです。日本人はこのことを理解することが大切です。
3.課題発見力とリバースイノベーションをかけ合わせる
リバースイノベーションとは、新興国や発展途上国が先に得た技術を先進国に輸入することです。
これを逆手にとり、日本では実証しにくい技術をアフリカのような国々で試してもらうことで、技術開発を進められると考えます。
「課題発見力」をかけ合わせれば、日本の課題をアフリカで実用化した技術で解決できるかもしれません。
課題発見力はAI時代のビジネスにおいて重要なスキルなので、これからも磨いていきましょう。
課題発見力については「4つのスキル前編:絶対に失業しない!?2030年に向けてニューノーマル、21世紀型の稼ぐビジネススキル4選」で詳しく解説しています。ぜひあわせて見てみてください。
ぜひ本記事を参考にリープフロッグ現象について理解を深め、これからくる激動の時代で自分が何をすべきかを考えていきましょう。
なお、フューチャリスト友村晋のYouTubeチャンネルでは「自分の力でお金を稼ぐ!」をメインテーマに、2030年の未来予測と生き残り戦略について解説しています。ぜひチャンネル登録をして、見逃さないようにしてくださいね!
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