「平等と公平の違いは?」
「AI社会では平等と公平のどっちを重視すればいいの?」
「これからの社会で通用する子どもにするために大切なことを知りたい」
今後のAI社会に適応するためには、平等よりも公平を重視した教育に変えていく必要があります。
一方で、育児において、どのような方針で子育てをしていけばよいかわからないという悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- 平等と公平の違い
- 平等と公平を使い分けるにはバランスが大切
- AI社会では公平が日本を救う
- AI社会での子育てのポイント
平等と公平の使い分け方やAI社会における教育のポイントを知り、今後の子育ての参考にしていきましょう!
平等と公平の違い
平等と公平には、以下のような違いがあります。
- 平等:みんな一緒
- 公平:なにかの要素で差をつける
たとえば4人で居酒屋にいき、2人しかお酒を飲まない状況で、会計が36,000円の場合、一人ひとりの支払い額が9,000円であれば平等です。一方で、お酒を飲んだ人を12,000円、飲まなかった人を6,000円にした場合は、公平となります。


ほかにも、コロナ期間中に10万円が配布されたケースでは、所得制限なく全員に配られたため平等に該当します。



所得制限を設けていたら、平等ではなく公平になっていたでしょう!
平等と公平を使い分けるにはバランスが大切!


平等と公平を使い分けるときは、バランスのとれた使い方が大切です。公平だけに偏ってしまうと、勝者と敗者を決めるためのゲームになってしまうからです。
たとえば、会社の売上目標が達成されたご褒美として社員旅行にいく場合、以下のような方法を使うと、平等と公平のバランスをとれるでしょう。
- 平等:社員全員を旅行につれていく
- 公平:旅行中の宴会で売上トップの社員を表彰して賞金をわたす



DXについてのプレゼンを聞かせてもらったエストニア政府も、平等と公平をバランスよく使い分けていました!
一例として、プレゼンを聞きたい場合、政府の公式ホームページから誰でも申し込みができ、申し込み後は政府が公正に判断して当選者を決めてくれます。
公平には落とし穴がある
平等と公平のバランスは大事ですが、公平という考え方には注意が必要です。なぜなら、見る人の視点(主語)によって、物事の捉え方が180度変わる場合があるからです。
たとえばCOPの会議では、先進国と発展途上国(インド)の視点の違いにより、公平の定義がガラリと変わりました。*COPとは気候変動のような環境問題について話し合う国際会議のこと
- 先進国の視点:CO2を多く出している国が、排出量を削減するのが公平である
- 発展途上国(インド)の視点:先進国はCO2を多くだして文明を発展させた。同じようにCO2を排出して経済発展を目指すのは公平である(CO2の排出を削減するのは不公平である)



アメリカのスポーツ界(陸上)でも、LGBTQに関する事例で、公平の定義に対する議論がおこったケースがあります。
具体的には、性転換をおこなった元男性選手の登場により、数々の大会で1位を獲得していた女性選手が優勝できなくなってしまい、公平の定義が問われました。
- 女性選手の視点:法律上は女性でも、元々の性別は男性なので女性枠で出るのは公平ではない(勝てるわけがない)
- 元男性選手の視点:法律上も見た目も女性なので、女性枠で出場するのは公平である
このように、公平という考えは、視点(主語)によって、意味合いが正反対になってしまうケースが多々あります。
AI社会では公平が日本を救う


ここでは、AI社会において公平が重要である理由や、日本の教育現場の現状・問題点を紹介します。
- 平等を重視すると協調性しか身につかない
- 日本の教育現場は協調性からはみ出した人を落ちこぼれにしている
これからの社会において、公平が日本を救う理由を知りたい方は、参考にしてみてください。
平等を重視すると協調性しか身につかない
AI社会では、公平に重きをおいた教育が必要です。平等を重視する指導では、協調性しか身につかず、子どもの才能を潰してしまうからです。
自分とは異なる立場や意見の人たちとも円滑にコミュニケーションを取り、共通の目標を達成するために行動できる能力のこと
その一方で、日本の教育現場では、公平な対応ができていません。
実際、日本の学校では、1人の担任が30人ほどの生徒をみているため、一人ひとりの個性を伸ばせない状況に陥っています。



生徒の個性をみつけて伸ばすためには、1クラス10〜15人くらいに対して1人の先生がみる必要があります!
日本の教育現場は協調性からはみ出した人を落ちこぼれにしている
残念ながら、現状の日本の教育システムでは、金の卵(有望な人材)を育てるのは難しいといえるでしょう。
多くの場合、常識的な優等生を育てようと平等な教育をおこないながら、協調性からはみ出した人を落ちこぼれ扱いするからです。



子どもたちの才能を伸ばすためには、平等ではなく公平に重きをおいた教育をする必要があります。
- 図書館の本の貸し出し本数の制限を設けない
- 得意な科目があれば、授業のスピードを揃えずに先に勉強させる
- テストが早く終わったら、好きな勉強をさせたり本を読ませたりする
ちなみに、フィンランドの公立小学校では、子どもたちがそれぞれ受けたい授業の時間割をつくり、好きな授業を受けて自分の才能を伸ばしています。
なお、これからの社会で必須となる知識や技術については、著書『2030未来のビジネススキル19』で詳しく解説しています。AI社会を生き残る術を身につけたい方は、参考にしてみてください。
AI社会で大切となる子育てのポイント6選


最後に、AI社会で大切となる子育てのポイントを紹介します。
- レジリエンスを上げる
- 自己主張する力をつける
- 論理的思考力を鍛える
- お金の使い方を教える
- 嫌われる勇気を育てる
- ポリシーを持って子育てをする
子育ての方針に迷っている方は参考にしてみてください!
レジリエンスを上げる
変化が激しいAI社会では、失敗したり怒られたりしても復活できるための力(レジリエンス)を高めることが重要です。
レジリエンスが低いと、いろいろなことに挑戦するのが怖くなり、自分の人生の最適解(生き方の正解)をみつけられなくなってしまうからです。



子どものレジリエンスを高めるためには、興味があることで苦労や失敗、恥をかかせる必要があります。
たとえば、子どもが木登りをしたいといったら、むやみに止めないようにします。食事のときにキムチを食べたいといったら、からいとわかっていても食べさせてあげるのがよいでしょう。
レジリエンス力のアップは、これからの時代に欠かせない要素です。子どもが自分で人生を切り開いていけるようにするためにも、たくさんの失敗を経験させてあげましょう。
自己主張する力をつける
日本においてもジョブ型雇用が増えている現代においては、自分をアピールする力をつけることが大切です。
自分のもつ長所やスキルをしっかりと主張して、他人に自身の能力を知ってもらわないと、稼げる人間になれないからです。
能力が高い人ほど、より多くの給料をもらえる仕組みのこと
自分の意見を言える子どもに育てるためには、自分の考えを口に出して言う習慣を身につけられる家庭環境をつくってあげましょう。



子どもになにか質問をして、理由をつけて答えてもらうようにするのがおすすめです!
これからの社会では、自分の意見やスキルをアピールする必要性が増していきます。2050年にむけて、自己主張できる子を育てましょう。
論理的思考力を鍛える
情報化社会が加速する未来において、論理的に物事を考える力を鍛えることは重要です。
膨大な情報がとびかう、変化の激しい世界で生き残るためには、論理的に情報を整理し、自分にとって最適な選択をおこなう必要があるからです。
物事を体系的に整理して筋道を立てて考える力のこと
子どもの論理的思考力を鍛えてあげる方法には、以下のようなものがあります。
- 自分の無知さや無力さを教えてあげる
- 俯瞰力(物事を広い視野で捉える力)を高めてあげる
- 目の前で起きている現象に対してなぜ?と思う訓練をする
- 怒りの感情をコントロールするための方法を教えてあげる
たとえば、子どもが井の中の蛙状態だと教えてあげるためには、図書館に連れていってあげたり、メディアを通して世界の現状を教えてあげたりするとよいでしょう。



無知の無知は、いま知っていることが世界のすべてだと思ってしまうため起こります!
AI社会で生き残るためには、論理的思考力を身につける必要があります。子どもの将来のためにも、ロジカルに冷静に物事を考えられる力を育ててあげましょう。
お金の使い方を教える
お金を上手に使う方法を教えてあげるのは、2050年にむけた子どもの教育において大切な要素になります。なぜなら、お金の使い方次第で、子どもの将来が決まってしまうといっても過言ではないからです。
お金の上手な使用方法を子どもに教えるときは、以下の3つを伝えてあげるとよいでしょう。
子どもに教えるべきコト | 具体例 |
---|---|
お金を使う基準のランクわけをする | 絶対必要なもの(Need)・大好きなもの(Love)・半年くらい楽しめるもの(Like)・今だけ心を満たすもの(Want)の4つに分ける |
脳と健康にお金を投資する | 脳への投資:本を読む、セミナーに参加する 健康への投資:無農薬の野菜を食べる、ジムに通う |
大切な人にお金を使う | 食事代を出してあげる もらったらうれしいものをプレゼントする |
たとえば、お金を使う基準のランクわけをするでは、自分にとって絶対に必要なものと大切なものにお金を使うと、心が満たされて幸せな時間が長く続く点を伝えてあげます。



幸せなお金の使い方ができるようになれば、年収が何千万円となくても、幸福な人生を歩めます!
子どもの未来のためにも、家族でしっかりとお金の使いかたの話をしましょう。
嫌われる勇気を育てる
子どもの能力や才能を伸ばすためには、協調性ばかりを大事にせず、嫌われる勇気をもってもらう教育が必要です。
嫌われることを恐れるあまり、人に好かれることに時間をさいてしまうと、本当にやりたいことができず、自分の能力を研ぎ澄ます時間を確保できないからです。
嫌われる勇気をもってもらうためには、以下の3つを子どもに教えてあげるとよいでしょう。
- 周囲の人たちは自分に興味がないことを知ってもらう
- いま見ている世界がすべてではないことを知ってもらう
- 他人のことで悩むのは時間のムダということを知ってもらう(課題の切り分け)



「嫌われないようにしなければと、ビクビクする必要はない!」と子どもに伝えてあげましょう。
なお、著書『2030未来のビジネススキル19』では、AI社会で必要となるスキルについて詳しく解説しています。今後の社会で必須となる知識を子どもに伝えたいと考えている方は、参考にしてみてください。
ポリシーを持って子育てをする
子どもの才能を伸ばすためには「将来こんな子に育ってほしい」という、ポリシーを持った子育てが欠かせません。
子どもを育てるうえでの芯があれば、自分の子が周りとなにか違うと感じたときでも、我が子の生き方に安心感を与えられるようになり、 本来もっている個性を磨き続けられます。



子育てのポリシーがないと、普通の子に戻そうとして、せっかくの才能をつぶしてしまう結果になってしまうでしょう。
子どもを育てるうえでの芯をもつためには、自分の子どもが将来どんなふうになってほしいかをしっかりと考え、最適な答えをみつける必要があります。
これからの社会では、今までと同じような子育て方法が通じなくなります。しっかりとしたポリシーをもって、子どもを育てていきましょう。
本記事を参考に、AI社会での子育てや教育方針を考えるキッカケにしていただければ幸いです!
なお、以下の2本の関連動画では、育児のストレスの解消法や夫婦喧嘩の解決法などを解説しています。夫婦間の衝突で悩んでいる方は参考にしてみてください!
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