「DXの推進がどうも上手くいかない」
「企業DXの進め方がよくわからない」
「DXの成功に外部の力は必要だろうか」
現代社会では、DX(デジタルトランスフォーメーション)が企業や組織の発展に欠かせない要素となっています。
DXを効果的に導入することで、業務の効率化や新たな価値創造が可能となり、競争力の強化につながります。今や、DXへの取り組みは、企業や組織の成長戦略の中核を担うものといえるでしょう。
そんなDXですが、自分たちが進める場合はどのようにやっていけば良いのかよくわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- DXの定義をおさらい
- DXコンサル活用の有効性について
- DXが中小企業に浸透しない2つの理由
- 企業DXの成功例3選
- コンサル直伝のDX推進法5ステップ
DXの推進には、コンサルティング(以下コンサル)を活用するという手法もありますが、ITコンサルとは別物なので注意が必要です。
僕がDXのセミナー講師やコンサルで積み上げた経験をもとに、コンサルの必要性や効果的な推進方法をお伝えします。
これからDXに取り組む企業や組織の方は、ぜひ参考にしてください!
なお「DXについて社内認知を広げたい」「DXの理解を確固たるものにしたい」という方は全国へ出張講演を行っているので、お気軽に問い合わせください。
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DXの定義をサクッとおさらい
DXを難しくとらえてしまう人が多くいますが、簡単に解説すると以下3つがそろうことだと考えています。
DXの定義3ステップ | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
ITを使って | アナログな仕事をデジタル化する | コミックのレンタルを単行本から電子書籍に変える |
楽して儲ける | オンライン化することで物理的な作業をなくす | サーバー上でレンタルを完結し単行本のメンテナンスや在庫管理などの作業をなくす |
体質を作る | ビジネス同士をつなげて幅を広げる | レンタルしている電子書籍から顧客の嗜好を分析して関連するサービスをおすすめする |
ちなみに、どれか1つでも欠けてはDXは完了といえません。
アナログ業務をIT化しただけでは、単なるペーパーレス化にとどまってしまいます。DXの真の目的は、業務プロセスを見直し、無駄な作業を削減することで、効率的で収益性の高い体質へと変革することにあります。これを実現しなければ、一時的な効果に終わってしまうでしょう。
なお、ここでいう「楽して儲ける」とは無駄な仕事をなくすことであり、労力を投じることなく収入を得られる状況を指しているわけではないことに注意してください。
ITを使って、楽して儲ける、体質を作ることができれば顧客ニーズに合わせた訴求が可能になり、新規ビジネスの成功確率が高まります!
DXコンサルの活用は成功確率を高めてくれる
世の中にはさまざまなコンサルが存在します。
代表的なものは以下の通りです。
- ITコンサル
- 経営戦略コンサル
- 財務コンサル
これらの他にもコンサルティングの分野は多岐にわたります。いずれも、企業や組織における課題解決のための助言や支援を行う仕事です。
DXにおいてもコンサルティングは重要な役割を果たします。とくに、DXの推進初期での活用が非常に効果的です。
なぜなら、DXの方向性を間違えてしまうと、本来成功するはずのものも成功しづらくなってしまうからです。
たとえば、東京から北海道へ行きたいのに、沖縄行きの飛行機に乗ってしまっては絶対に目的地にたどり着くことができません。軌道修正した頃には多くの時間を無駄にしてしまうでしょう。
DXの推進においても同様に、コンサルティングを活用してゴールへの道筋を明確に描いてもらえば、成功の確率がグンと高まることは明らかです。
【コンサル必須?】DXが中小企業に浸透しない2つの理由
DXは大企業から進んでいく傾向にあります。
ここでは、中小企業においてDXが進まない理由を理解するとともに、中小企業のほうがコンサルティングの重要性がより高まることを認識しておきましょう。
- 社長を含む役員のDXへの理解が浅いから
- IT人材が大企業に就職してしまうから
1つずつ詳しくみていきましょう。
なお中小企業にDXが浸透しない理由については、友村晋のYouTube動画「DX#8 中小企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)できない根本的な原因は、日本の社会構造にある」でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください!
1.社長を含む役員のDXへの理解が浅いから
経営層のDXに関する知識が浅ければ、その企業にDXが浸透することは困難でしょう。
なぜなら、社長や役員には会社の方針を決める決定権があるからです。
そのような立場にある人たちがDXのことをよく理解していなければ、推進したとしても良い方向へは進みづらくなります。
たとえば、指示を出す経営層のDXへの知識が浅ければ、ITに強い人材にDX化の推進を丸投げしてしまうかもしれません…!
そして、アナログのFAXをやめてペーパーレス化しただけのことで「よし、これでDXができたぞ!」と早合点してしまうでしょう。
実際にDXを推進する場合は、IT人材ではなく営業が得意な人に任せることをおすすめしています。
DXは最終的には収益に直結するからです。ITに強くても収益性の高い体質を作れなければ、適任とはいえないでしょう。
このように中小企業では、社長や役員の理解が浅いことが原因で、大企業のようにDXが浸透していかないのが現状です。
2.IT人材が大企業に就職してしまうから
ITが得意な人材にとって、中小企業に就職するメリットは限定的だと言わざるを得ません。
その理由は以下の通りです。
- 大企業のように正当な評価を得にくい
- 正当な評価を得られないと給与が上がりにくい
現在でも不足しているIT人材が、報酬の高い大企業やIT企業に就職するのは無理もないでしょう。
ちなみに、2030年ごろにはIT人材が約80万人も不足すると予測されているため、この流れはさらに加速すると考えられます。
そして、大企業に就職したIT人材が開発した高機能なITツールを、支払い能力のある別の大企業が購入します。
これが日本社会の構造であり、中小企業のDXが進まない要因の一つでもあるのです…!
参考:IT分野について
なお、DXについて「社員にも講演や研修をしてほしい!」という方は、出張セミナーも承っていますので、ぜひお気軽に問い合わせください!
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【コンサルタントも仰天】DXの成功例3選
DXは日本だけでなく、世界的にも進んでいる取り組みです。
ここではそんなDXの成功例を3つ紹介します。
- データをもとに顧客の好みに合わせたセールスを展開
- 勘に頼らず数値化することにより売上アップ
- アプリでデータを集めて成功確率アップ
成功例にはヒントがたくさん隠れています。これらを参考に身の回りのDXにも活かしてみてくださいね。
なおDXの成功事例については、友村晋のYouTube動画「DX#4 DXの成功事例3つ、これがデジタルトランスフォーメーションの具体的な成功事例だ!」でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください!
1.データをもとに顧客の好みに合わせたセールスを展開
アメリカのスーパーマーケットであるウォルマートは、デジタルデータを軸にDXを成功させました。
アナログなスーパーマーケットであっても、顧客データを活用することで、以下のような新規ビジネスを展開できるようになります。
- データをもとにネット通販で見込み客に広告を配信する
- データを分析して新規ビジネスを立ち上げる
ウォルマートは、データ収集のために月額会員サービス「ウォルマート・プラス」(月額8ドル程度)を活用しています。会員が受けられるサービスは以下の通りです。
- ネット通販で注文した商品を近くの店舗で受け取れる
- 提携のガソリンスタンドで割引が受けられる
- レジに並ばずにスマートフォンで決済できる
これらのサービスを提供することにより、月額の売上が入るだけでなく顧客のデジタルデータも取得可能になりました!
また、ウォルマート・プラスの会員数は1,000万人を超えていると言われており、膨大なデータをビジネスに活かせます。このようにデジタルデータを活用することで、DXの成功確率を高められるわけです。
2.勘に頼らず数値化することにより売上アップ
配車サービスのUber(ウーバー)はDXにより移動・運送業界のあり方を根本から変えました。
DXに成功する前のタクシー業界では、勘や経験に頼ってお客を拾えそうな場所を選ぶのが一般的でした。
しかし改革後は、過去の膨大なデータを分析することで、お客を拾える可能性の高い場所を特定し、運転手はあらかじめ需要の高い場所で待機可能になっています。DX前後の仕事は以下のように変化しました。
- アナログ時代:「金曜の夜はこの辺をウロウロしていれば人を拾えるだろう」
- DX改革後:「代々木駅の西口では、金曜日の9時くらいに待機していればお客様を拾える確率が90%」
Uberはサービスをデジタル管理しており、世界で1日3,000万台もの車が走っているため、データの蓄積量が突出しています。
このように多くの行動データがあれば、売上を上げやすいポイントに労力を集中できます!
3.アプリでデータを集めて成功確率アップ
コカ・コーラを販売している日本コカ・コーラ株式会社(ザ コカ・コーラ カンパニーの日本法人)は、自販機ビジネスでDXを社内に浸透させました。
同社は「Coke ON(コークオン)」というアプリを運営しており、月額3,300円(税込)で日本中のコカ・コーラ自販機でドリンクを1日1本無料で提供するサービスを展開しています。
サブスク(月額会員サービス)で囲い込むことにより、出先で他社の自販機を見つけたとしてもコカ・コーラの自販機を探すようになるでしょう!
また、このアプリはコカ・コーラの自販機に近づくとBluetoothで接続され、アプリ上でタップするだけでドリンクを購入できます。
これにより「どこで」「どのような人」が「何の」ジュースを買っているかのデータを蓄積。自販機の設置位置やドリンクのラインナップの戦略に活かすことで、購入数の増加を実現しています。
たとえば、朝9時にコーヒーがよく売れていれば、近くに会社があるとわかります。他の通勤路にも自販機を展開すれば、販売数を増やせるわけです。
さらに、お得な月額固定料金で毎日コーヒー1缶がもらえるサービスを提供すれば、顧客の囲い込みもできるでしょう!
アプリという身近なメディアでデジタルデータを集めてDXを成功させた素晴らしい事例です。
【コンサルタント直伝】DXの推進方法5ステップ
DXを進めるには順序やコツがあります。
ここではDXコンサルタントでもある私が、推進方法を5つに分解して解説します!
- なぜDXをやるのかという会議を行う
- DX事業部を作る
- アイディアを出しあう
- 必要なデジタルツールを導入する
- 実際にやってみる
1つずつクリアしてDXを成功に近づけていきましょう。
なおDXの進め方については、友村晋のYouTube動画「DX#6 社内DX改革って結局この5つをやったら完了。具体的なやるべき5ステップ」でも詳しく解説しています。あわせてチェックしてみてください!
1.なぜDXをやるのかという会議を行う
DXを推進するにあたっては、まず組織内で共通認識を持つことが重要です。そのため、必ず話し合いの場を設けましょう。
なぜなら、同じ方向を向いていないと、DX自体が目的だと勘違いする人が出てきてしまうからです。
DXは話し合いで決めた目的を達成するための手段であり、それ自体が目的ではありません!
最終的には、収益性の高い体質を作ることがとても大切です。アナログからの脱却だけで満足せず、真の意味でのデジタルトランスフォーメーションを目指しましょう。
2.DX事業部を作る
DXの目的を明確にしたら、次のステップではDX事業部を立ち上げましょう。
収益性の高い体質を組織に浸透させるには、中長期(2~3年)での取り組みが必要だからです。短期的な実現目標では一過性のビジネスになりかねないため、しっかりと腰を据えて取り組める環境を整えることが重要です。
DX事業部の責任者に適任な人の特徴は、以下の通りです。
- マーケティングの知識を持っている人
- 会社の事業の全体像をおおよそ把握している人
- 人望がある人
DXは部署単体ではなく組織全体に関わる変革なので、とくに人望が厚い人が理想的です!
事業部を作り、リーダーや人員をそろえたら、ステップ2は完了です。
3.アイディアを出しあう
DX事業部の立ち上げが完了したら、早速新規ビジネスのアイデア出しを始めましょう。
その際には、各業界の成功例を持ち寄る必要があります。ビジネスの基本はTTP(徹底的にパクる)だからです。同業種だけでなく、異業種の事例も参考にすることが大切です。
このアイデア出しの段階で、DXコンサルの必要性が高まります。異業種の成功事例や社外の視点からのアドバイスが、新たな発想を生み出すことにつながるからです。
同じ業界のDXにしばられていては、新しい発想が生まれにくくなってしまいます。
DXを成功させたいのであれば、各業界のDX成功例を参考に真似ることから始めてみましょう!
本記事で紹介した成功事例からも明らかなように、ひとつのビジネスモデルが軌道に乗れば、デジタルデータを活用して事業を枝葉のように展開できるでしょう。
4.必要なデジタルツールを導入する
新しく取り組むビジネスが決まったら、自社に必要なデジタルツールの選定へと移りましょう。
DXの成功にはデジタルツールが不可欠です。これらのツールの中には高額なものもあり、導入に戸惑う人もいるかもしれませんが、無料や安価なツールも数多く存在します。
デジタルツールの参考例は以下です。
- LINE:新商品の告知やセール情報の発信
- ホームページ:商品の紹介や宣伝
- Salesforce(セールスフォース):顧客管理システム
もちろん高額なツールも存在しますが、大切なのはビジネスとの相性の良さです!
たとえばアナログなスーパーを運営している場合、以下のような展開が考えられます。
- 10万円程でネット通販のホームページを立ち上げる
- 公式LINEを活用して既存顧客に告知する
- 既存のアナログ客をネット通販に誘導する
ここで新規顧客ではなく既存顧客を対象としているのは、成功の可能性が高いからです。
新しいビジネスを始める際は、現在のお客様を対象にビジネスやツールを選定することをおすすめします。
5.実際にやってみる
ビジネスツールの選定が完了したら、あとは実行するのみです。
新しいビジネスの成否は、実際にやってみなければわかりません。その際に重要な判断基準となるのが、以下の2点です。
- 実際に売上が上がるのか
- 思っていた通りに売上が上がるのか
計画と同じかそれ以上に売上が立つ段階まで到達できれば、成功といえるでしょう。ここで、DXの定義を再確認しておきましょう。
- ITを使って
- 楽して儲ける
- 儲かる体質を作る
売上が上がれば、あとは収益性の高い体質を作るだけです。
儲かる体質が組織に浸透するには時間がかかりますが、ステップ3のアイデア出しからステップ5の実行までを繰り返すことで、成功への道のりが近づきます。
そこにデジタルデータを組み合わせることでさらに精度が高まり、自然に失敗のリスクを減らせます。
このような流れで儲ける体質まで浸透すれば、晴れてDXは完了です!
ぜひ本記事の内容を参考に、自社のDXを前に進めていってくださいね。
なおDXやIoT、AIなどに関する最新情報は「フューチャリスト友村晋のYouTubeチャンネル」でも発信しています!動画は定期的に追加していくので、ぜひチャンネル登録をして、見逃さないようにしてくださいね!
また、DXについて「社員にも講演や研修をしてほしい!」という方は、ぜひお気軽に問い合わせください!出張セミナーも承っていますので、直接お伺いすることも可能です。
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