「DXへのあいまいな理解を確固たるものにしたい」
「身の回りではどんなDXが起こっているのだろう」
「自社でも取り組めるDXの進め方の参考例を教えてほしい」
DX(デジタルトランスフォーメーション)について、わかったようでわからない…と感じている方は多いのではないでしょうか。
DXの本質を理解するためには、わかりやすく概念化した話と、身近でおきている成功事例を知ることから始める必要があります。
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そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- 宇宙一わかりやすいDXの定義
- わかりやすいDXの成功事例
- DX導入から完了までの3STEP
- DXの身近な例
- 社内DX改革の進め方がわかる参考例
DXの定義を理解し、DX改革の中心となるような人材になっていきましょう。
宇宙一わかりやすいDXの定義
DX(デジタルトランスフォーメーション)を一言で定義すると「ITを使って、楽して儲ける、体質を作ること」です。DXのセミナー講師でもある私が、宇宙一わかりやすくをモットーに考えた定義となります。
ちなみにトランスなのになぜ「T」ではなく「X」かというと、英語圏ではトランスをXで省略する習わしがあるからです。
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そして定義に「楽して儲ける」というキーワードがあるので、嫌悪感をいだく方もいるかもしれませんが、これは「無駄な仕事をしない」と認識してください!
なお、以下の1~3の1つでも欠けたらDXは完了しません。
- ITを使って
- 楽して儲ける(無駄な仕事をせず、利益も出す)
- 体質を作ること
顧客ニーズの変化が激しいビジネス社会ではDXが必須です。大企業はもちろん、中小・零細企業ほどDXが必要なので自分ごとと考えていきましょう。
わかりやすいDXの成功事例を3つピックアップ
わかりやすい成功事例がないとDXの理解は難しいでしょう。そこで、ここでは3つピックアップして紹介します。
- データをもとに顧客の嗜好に合わせたセールスを展開
- 長年の勘の数値化
- データで相手のクセを丸裸
DXを駆使すれば可能性は無限大です。ぜひあなたの職場でも活かしていきましょう。
これから解説する内容は、YouTube動画「DX#4 DXの成功事例3つ、これがデジタルトランスフォーメーションの具体的な成功事例だ!」でも解説しています。ぜひ参考にしてください!
1. 米小売り最大手ウォルマート|データをもとに顧客嗜好に合わせたセールスを展開
アメリカ全土に5,000店舗ほどあるスーパーマーケットのウォルマートはDXの活用に成功しました。
ウォルマート・プラスという月に8ドルくらいのサブスク(月額会員ビジネス)を用いて、顧客を囲い込み、デジタルデータを利用することでDXが浸透しています。
そんなウォルマートも、DX前は普通のアナログなスーパーでした。しかし、DX改革を進め、ウォルマート・プラスを使うことで、さまざまなサービスを受けられるようになったんです。
- ネット通販ページで注文したら近くの店舗で受け取れる
- 提携のガソリンスタンドで割引が受けられる
- レジに並ばなくてもスマホで決済できる
月に8ドル払えばこのような恩恵が受けられるようになります。
代わりに大量の顧客データを入手できるようになりました。その結果、実現したことは以下の2つです。
- データをもとにネット通販で見込み客に広告を打つ
- データをもとに新規ビジネスを立ち上げられる
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ウォルマート・プラスは会員が1,000万人以上いると言われているため、データは豊富に溜まっています。そのデータを活かせばDXはお手のものというわけです。
2. 配車サービスUber|長年の勘の数値化
配車サービスのUberもDXを上手く活用している企業です。
アナログな時代は勘所で仕事をしていました。しかし、DX化により高確率でお客様を拾えるような角度の高いビジネスへ発展したんです。
- アナログ時代:「金曜の夜はこの辺をウロウロしていれば人を拾えるだろう」
- DX改革後:「代々木駅の西口では、金曜日の9時くらいに待機していればお客様を拾える確率が90%」
顧客データをクラウドに溜めた結果、長年の勘を言語化できるようになっています。
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Uberは世界で1日3,000万台も走っており、すべてがデジタル管理となっているため、利用者が多ければ多いほどデータが蓄積されるというわけです。
大量の行動データがあれば、確率の高いところにリソースを集中できます。
3. オリンピックの柔道|データで相手のクセを丸裸
過去のオリンピック | 柔道男子のメダル数 |
---|---|
ロンドン(2012年) | 0個 |
リオデジャネイロ(2016年) | 7個 |
東京(2021年) | 5個 |
オリンピックの柔道でもDXを取り入れることにより、メダルの獲得数を増やすことに成功しました。
ロンドンのころは、おそらく気合や根性でやっていたのでしょう。柔道は日本のお家芸でしたが、メダル0個という結果に危機感が芽生えてDX改革が進展しました。
そこで開発されたのが、柔道のためだけの分析ツール「GOJIRA」です。敵の戦う映像を録画し、どういう風に勝つかをすべてデジタルデータ化してくれます。そこから得られるデータは以下のようなものです。
- 「柔道着のここを右手でつかんだときは~の技を出してくる可能性が〇〇%」
- 「勝っているときは大外刈りの使用率が〇〇%」
- 「背負い投げが失敗する確率が〇〇%」
これらのデータを駆使して、日本男子の柔道はオリンピックでメダルを量産できるようになりました。データをもとに対策をたてれば、勝てる可能性が格段に上がるということです。
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DXはビジネス以外にも活用できるので、身近に感じてもらえたのではないでしょうか!
DX導入から完了までの3STEPをわかりやすい例をまじえて解説
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IT化すればDXは完了と勘違いされがちですが、実際には以下3つのSTEPがすべてそろうことで導入完了となります。
- 脱アナログ
- 脱アナログしてお金儲けに成功
- デジタルで儲ける体質が浸透
それぞれ詳しく解説していきます。
1.脱アナログ
まずはIT化して、脱アナログすることが最初の取り組みです。
たとえば、レンタル漫画(コミック)などのサービスを手がけるDMMは、電子書籍により脱アナログに成功しました。
本来、本のレンタルはアナログで「発送・返却・消毒」の作業があります。それに加え、伝票発行や顧客管理の手間も発生します。
しかし、書籍自体がデジタル化したことによって、周辺業務もデータにて一括管理ができるようになりました。
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電子書籍はDMMのサーバーにデータを上げるだけなので、まずはデジタル化の完了となります。
2.脱アナログしてお金儲けに成功
脱アナログが完了したら、楽して儲けるフェーズです。
同じくDMMの例で解説していきます。
電子書籍をサーバー上で販売したら、あとはショッピングカートをつけるのみです。その後は、クレカなどで電子決済してもらえれば取引完了。発送や伝票発行といった販売側の作業はいっさいありません。
期間限定のレンタルであれば、返却日がきたら自動的に見られなくするだけですみます。これにて楽して儲けることに成功というわけです。
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ただし、これでDXの完了ではありません。儲ける体質を浸透させることまでが大切なので、次の章で解説していきます!
3.デジタルで儲ける体質が浸透
DXの最終段階は、デジタルで儲ける体質を浸透させることです。ひと言で表現すると、一発屋で終わらせないということになります。
ちなみにDMMは複数の事業を抱えています。
- 英会話
- 水族館
- レンタルスペース
これらはほんの一例で、実際には40個ほどのビジネスを展開しているんです。DXにて事業の幅を広げた結果といえるでしょう。
たとえば、ギャンブル漫画で人気の「カイジ」を、電子書籍でレンタルしているユーザーがたくさんいると仮定します。
そういう人向けに、アプリ上でできるパチンコ・スロットを宣伝すれば、一定数の人が興味を持ってくれると予想できるでしょう。あとは実際にサービスを開発・リリースするだけで儲けられます。
集めたデータをもとに、勝てる見込みの高い状態で、新規ビジネスの立ち上げができる点が大きな強みになるわけです。
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つまり、新規ビジネスでも売上が立ちやすいという相乗効果が生まれるんです。
このようにデジタルデータの活用によって、ビジネス展開を連鎖的に起こす企業風土(体質)ができたとき、DXの完了となります。
なお、このようなDXに関する話にとどまらず、2030年の未来予測をもとに今何をすべきかをYouTubeで発信しています。以下のボタンから、ぜひ一度見てみてくださいね!
\ ここをクリック /
【DXの身近な例】自販機ビジネスが面白い
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私たちにも馴染み深いコカ・コーラを販売するザ コカ・コーラ カンパニーは、自販機ビジネスでDXを取り入れています。
Coke ONというアプリを運営しており、コカ・コーラの自販機に近づくとBluetoothでつながり、アプリ上でタップしたらお金を入れなくてもジュースが出てくるというサービスです。
このアプリでDXの3段階を分解してみます。
- 「どこで」「どのような人」が「何の」ジュースを買っているかデータを溜める
- もし朝9時にコーヒーがよく売れるなら近くに会社があるのでは?と分析、ほかの通勤路に自販機を展開する
- 月額固定でお得に、毎日コーヒー1缶がもらえるサービスを展開して顧客を囲い込む
ちなみにCoke ONのサブスクは月額2,700円で、日本中のコカ・コーラ自販機でドリンク1日1本無料というサービスを受けられます。
契約している人は、旅先でキリンの自販機を見つけたとしても、そこでは買わずに「コカ・コーラの自販機を探そう」となるわけです。
枝葉のようにビジネスが展開されていけば、儲ける体質はどんどん浸透していきます。
社内DX改革の進め方がわかる参考例を5STEPで解説
DXの必要性を理解しても、実際どのように進めていけばいいのか不安に感じるでしょう。
ここでは、社内DX改革の進め方を解説していきます。
- なぜDXをやるのかという会議を行う
- DX事業部を作る
- ブレインストーミングする
- ツールを選定する
- やってみる
なお、これから解説する内容は、YouTube動画「DX#6 社内DX改革って結局この5つをやったら完了。具体的なやるべき5ステップ」でも解説しています。ぜひ参考にしてください。
1.なぜDXをやるのかという会議を行う
まずはDXをやる目的を社内会議で明確にしてください。DXを目的にしてしまうと100%失敗に終わるからです。
しかし実際には、多くの経営者がDXを目的にしてしまっています。
最初は手段として使うためにDX改革を始めたものの、いつの間にか目的になってしまい、言葉だけがひとり歩きしている悲しい状態です。
重要なことなので何度も繰り返し言いますが、何か達成したい目的があって、その手段としてDXがあることを忘れないようにしましょう。
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目的をハッキリさせ、社内での共通認識を徹底することで、ようやくDXがスタートします!
2.DX事業部を作る
DX改革の目的を決めたら、専門の事業部を作りましょう。
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儲ける体質を作るには中長期(2~3年)で考える必要があります。そのため、事業部をつくり地盤を固めようというわけです。
その際に事業部長が必要となり、以下3つの特徴にあてはまる適任者を見極めなければなりません。
- マーケティングの知識を持っている人
- 会社の事業を把握している人
- 人望がある人
なかでも私は、人望が最も大切であると考えています。DX事業部は各部署にまたがり新しい事業を生み出す必要があるため、普通の人望では足りないでしょう。
3.ブレインストーミングする
DX事業部を作ったらブレインストーミングを行いましょう。
簡単にいうとアイデア出しの会議です。デジタルデータを使って立ち上げる新規事業がメインテーマになります。
おすすめの進行方法は、事例を参考に話を進めることです。
たとえば「競合他社のAさんがDXでこういうことを成功させている」などの事例があるなら、ビジネスの基本であるTTP(徹底的にパクる)を推し進めていきましょう。
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アイデアの幅を広げるため、競合ではなく全く関係ない事業のDX成功例を参考にするのも良いでしょう!
なお、以上のことを実践するのは思ったよりも難しいので、アイデア出しだけでも外部の力を借りることをおすすめします。
4.ツールを選定する
アイデアを出したあとは、どのツールを入れるかの選定へと移っていきます。ちなみに使うツールは以下2パターンで変わります。
- 既存のお客さんを使ってやる新規ビジネス
- 新規のお客さんを捕まえるビジネス
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前者の方が圧倒的に簡単なので、私がDXのコンサルティングで指導する場合はこちらをおすすめしています!
小売業であれば、ネット通販事業を立ち上げて、店舗販売をオンラインにも展開していくようなイメージです。
よく勘違いされますが、DX化というと何百万円もするツールを入れなければならないという誤解があります。
しかし、ホームページの立ち上げなら数10万円、LINEの公式アカウントを活用した場合は無料で使えるので、必ずしもお金をかける必要はないということは覚えておきましょう。
大事なのはやろうとするアイデアに対して、最適なツールを導入することです。
5.やってみる
最終ステップは、実際にデータやツールを使ってビジネスをやってみることです。
たとえば既存の顧客相手なら、メルマガでアプローチしてみましょう。新しい商品やサービスのリリースを案内してみてもOKです。
ここからは実際に売上が立つのか立たないのかの検証へと向かっていきます。売上が立ち、儲かるようならDXの定義である第二段階「楽して儲ける」がクリアです。
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あとは儲ける体質を作るだけなので、今回紹介した5STEPのうちの3~5を繰り返すのみとなります。
- ブレインストーミングする
- ツールを選定する
- やってみる
徐々に「デジタルデータを使うと高い確率でビジネスがあたり売上が立つ」という空気感が社内に浸透するでしょう。その結果、新規ビジネスをどんどん作ろうという雰囲気になっていきます。
ぜひ本記事を参考にDXへの理解を深めて、社内DXの中心的存在として改革を進めていきましょう。
なお、DXに関することも含め、これからの激動の社会をかしこく生き抜いていくための最新情報は「フューチャリスト友村晋のYouTubeチャンネル」で発信していきます。
定期的に更新してくので、ぜひ以下のボタンからチャンネル登録して見逃さないようにしてくださいね。
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