「チャットGPTの問題点ってなんだろう」
「問題点に対して解決策はあるのだろうか」
「チャットGPTが教育に与える影響は?」
チャットGPTはうまく使うことで生活を豊かにしてくれる便利なツールです。一方、問題点が指摘され、ビジネスだけでなく教育現場でも使い方が議論されています。
そのため、実際どのような問題点があるのか気になる方もいるのではないでしょうか?

そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- チャットGPTの普及が引き起こす7つの問題点
- 問題点に対する5つの解決策
- 学生教育における問題点と解決策
ビジネスパーソンや就活生をはじめ、子育てをしている親御さんや教育関係者の方にも見てもらいたい内容となっています。ぜひ記事を参考に、生活や教育に役立ててくださいね。
なお、チャットGPTに関する講演会を承っております。これまで自治体や商工会議所などで実施し「これまでの不安が解消した」「チャットGPTは必ず使います」といった声をいただくなど好評です。
ぜひ以下のボタンから詳細を確認してみてください。
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チャットGPTの普及が引き起こす7つの問題点
チャットGPTは生活を豊かにし、業務を効率化してくれるメリットがある反面、問題点も指摘されています。以下の7つの問題点です。
- フェイクニュースや犯罪に悪用される可能性がある
- 質問の仕方により回答が異なる場合がある
- 学習データが最新であるとは限らない
- 情報漏えいのリスクがある
- 嘘の情報を答える場合がある
- ニッチな質問には答えられない
- 先細りする仕事がある
それぞれみていきましょう。
1.フェイクニュースや犯罪に悪用される可能性がある
倫理的に問題がある内容については、基本的に回答が得られません。
ストレートに質問すると「情報やアドバイスを提供することはできません」と回答してきます。



しかし、質問の仕方やプロンプトを工夫することでたどり着けてしまうため、注意が必要です。
質問の仕方により、詐欺などのアイデアになる可能性も。使い方次第で悪用される危険があります。
2.質問の仕方により回答が異なる場合がある
チャットGPTの回答は、同じ内容の質問をしても毎回同じ結果になるとは限りません。



質問の仕方や前後の会話の流れにより、異なる回答を生成するためです。
同じことを聞いているのに返ってくる内容が違うと、どれが正しいのかがわからなくなります。
期待している回答を得るには繰り返し質問したり、適切に指示したりすることが重要です。
3.学習データが最新であるとは限らない
GPT3.5は2022年1月までの情報しか持っていません。ここ2年くらいのトレンドや最新情報を把握せずに回答しています。



なお、最新のGPT-4oでは、2023年10月までのデータを学習しています。
情報が常にアップデートされているわけではないことを念頭に置きましょう。
4.情報漏えいのリスクがある
個人情報や機密情報を入力すると、情報漏えいのリスクがあります。



入力した情報が学習データとして活用されるためです。
情報の取扱いに注意し、セキュリティの対策を行う必要があります。
なおチャットGPTでは、履歴情報を保存しない設定にすれば、30日以上は保存されなくなります。「チャット履歴とトレーニング」をオフにしておきましょう。


セキュリティを重視する方は、今すぐ変更してくださいね。
5.嘘の情報を答える場合がある
チャットGPTは自然で人間らしい回答ができるため、かなりの割合の回答が真実のように見えます。しかし、嘘の情報が含まれているケースも珍しくありません。



学習データ自体が誤っている場合、そのまま生成してしまうからだと考えられています。
得られた回答は正しいのか、信頼できる情報なのかを確認する必要があります。
6.ニッチな質問には答えられない
チャットGPTが学習している情報には限りがあります。



そのため固有名詞やニッチな質問には答えられない可能性があります。
専門性の高い内容も苦手な分野です。
ただし、自社のデータやPDFファイルなどを読み込ませることで、特定の分野に詳しい状態に仕上げられます。
実際、チャットGPTのGPT-3.5モデルを使用して作られたNotion AIは、Notion内における自社サーバーのデータを学習することで、瞬時に適切な情報を探し出すことを可能にしています。
ここでは、標準状態では詳しい話についてこれないことだけは覚えておいてくださいね。
7.先細りする仕事がある
チャットGPTは人間に代わってできる仕事があり、労働力不足や業務の効率化に役立ちます。同時に以下に該当する仕事をしている方は、これから先細っていくと考えられます。
- 作詞家、作家
- プランナー
- 翻訳業務
- システムエンジニア
- 試験問題作成
- ライター
チャットGPTがどんどん進化していき、人間の代わりにできることが増える流れは止められないでしょう。



人類は便利な生活に流れていくため、あと戻りすることは考えられないからです…!
そこで、人間にしかできないことを予想して仮説を立ててみてください。未来予測をすることによって、この先に力を入れて身につけるべきスキルを見極めていきましょう。
なおチャットGPTが社会に与える負の影響については【チャットGPTの使い方を初心者にもわかりやすく解説。チャットGPTとは?その使い方、活用方法は?「GPT-4」とは【openAIのチャットGPTとBard】AIが世界を変える?】で解説しています。あわせてご覧ください。
また、チャットGPTを利用するメリットや具体的な利用方法について直接お話する講演会も実施しています。興味のある方は、詳細を以下のボタンからチェックしてみてください!
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チャットGPTの問題点に対する5つの解決策


チャットGPTの問題点には解決策があります。具体的な方法は以下の5つです。
- 具体的なプロンプト(指示の文)を入力する
- 生成された回答が正しいか確認する
- 個人情報・機密情報を入力しない
- 倫理観を持ちチャットGPTを扱う
- 人間しかできないスキルを高める
一つずつ解説します。
1.具体的なプロンプト(指示の文)を入力する
期待する回答を得るには、プロンプトの内容をできるだけ具体的に、かつ明確に入力することが重要です。
プロンプトには次の4つの要素があります。
- 命令:モデルに実行させたいタスクや命令
- 文脈:モデルをより適切な応答に導くための外部情報や追加情報
- 入力データ:回答を求めたい入力または質問
- 出力形式:出力のタイプまたは形式
たとえば回答して欲しい項目や形式、文字数など条件を指定します。5W1Hを含めた内容でやりとりするのも効果的です。



チャットGPTに対し「あなたは〇〇です。〜について考えてください」と役割を与えるのもいいでしょう。
最初から完璧な回答が得られるとは限らないので、チャットGPTと対話しながら精度を高めていきます。
最近ではプロンプトを設計し、うまく使えるように改良する「プロンプトエンジニアリング」という職業が注目されています。
プロンプトの詳細は、関連記事「【ビジネスに活かせる】ChatGPTのおすすめプロンプト例BEST10!実際の入出力とあわせて紹介」で解説しています。


2.生成された回答が正しいか確認する
チャットGPTは仕組み上、間違った文章を生成する可能性があります。
回答をそのまま受け取るのではなく、公的機関の情報や論文などで事実確認することが重要です。



情報の正確性は、あくまでも参考程度にしましょう。
一方アイデア出しや翻訳などは得意分野です。チャットGPTには得意なことをしてもらうといいでしょう。
3.個人情報・機密情報を入力しない
チャットGPTは利用者が入力した情報を学習します。情報漏えいのリスクがあるため、個人情報や機密情報は入力しないよう注意しましょう。
チャット履歴をオフにする機能や、オプトアウト申請などで対策を取ることが推奨されます。
チャット履歴のオフは設定のデータ制御にある「チャット履歴とトレーニング」をオフにします。


オプトアウト申請とは「個人のデータなどを第三者に提供することを停止する」申請で、OpenAIのプライバシーリクエストポータルから申請が可能です。



会社の場合、顧客のデータや情報が漏れないように対策する必要があります。
チャットGPTの利用に関する規定を作り、社内や関係者で共有するようにしてください。
4.倫理観を持ちチャットGPTを扱う
チャットGPTは学習したデータを元に回答を生成するため、著作権の侵害のリスクがあります。OpenAIでは「利用者が入力し出力したものの所有権は、入力者にある」としており、商業的な利用には注意しなければなりません。
また、差別的な表現が人権を侵害する可能性もあります。



チャットGPTは人間のような倫理的な考えや感情を持っていません。
基本的に倫理に反する内容には答えないようになっていますが、適切な発言だけとは限らないのです。
利用者は倫理観(人として守るべき善悪や是非の判断)を持ち、扱うことが重要です。
5.人間しかできないスキルを高める
チャットGPTができなくて人間にできる、代表的なことは「課題発見」です。



チャットGPTは人間世界で起きている現象を問題だと思うことはありません…!
つまり「社会をより良くするにはどうすればいいのか」といった感情はないのです。
人間は課題発見力を磨き、チャットGPTには得意なことをしてもらいましょう。
課題発見ができる人は、会社が手放したくない人材になれますよ。
なお僕の書籍では、未来を生き残るために必要なスキルについて解説しています。食いっぱぐれないスキルを身につけたい方は、ぜひ手にとってみてください!
学生教育のチャットGPT利用における5つの問題点と対策
チャットGPTの教育現場での使用については、多くの大学で注意を促しています。問題点と解決策をみていきましょう。
- 考える力を失う可能性がある
- 研究スキルや文章力・批判的思考力などが育たない可能性がある
- 評価が難しくなる
- 情報の正確性を確認する必要がある
- 生成された回答が正しいのか批判的に考える
それぞれくわしく解説します。
なお、僕はチャットGPTの講演会をやっており、教育現場向けにカスタマイズしたお話をすることも可能です。興味のある方は、ぜひ以下のボタンから内容をチェックしてみてくださいね!
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1.考える力を失う可能性がある
使い方を間違えると、子どもの考える力が育たない可能性があります。チャットGPTを使えば質問の回答が苦労なく得られてしまい、考える力が失われやすいのです。
アメリカやカナダでは、使用を禁止している学校が増えており、僕も子どもの使用については同じ考えです。



現代の子どもに大切なことは、挑戦して成功することではなく「挑戦して失敗すること、恥をかくこと」だと考えます!
僕も子育てをしているので、子どもの使用には慎重になります。
チャットGPTをうまく使うには、どれだけ質の高い質問を入力できるかが重要です。子どもの頃に五感をフルに使い「どれだけたくさん挑戦して、どれだけたくさん失敗したか」がポイントになるでしょう。
2.研究スキルや文章力・批判的思考力などが育たない可能性がある
学習場面でチャットGPTに依存すると、研究スキルや文章力、批判的思考力が身につかない可能性があります。得られた回答をそのまま利用すれば、学生が身につけるべきスキルが育たないと考えられるのです。



国内の大学ではチャットGPTによる影響に対し、大学独自の利用基準を設けたり、注意喚起したりするところが増えています…!
注意が必要な一方、チャットGPTの適切な使用により学習効果を向上させるメリットもあります。たとえば文法や文章の添削、必要な情報のリサーチでは学生をサポートしてくれるでしょう。あくまでもサポート的な利用が望ましいです。
文部科学省では「初等中等教育段階における生成AIに関する暫定的なガイドライン」を策定し、全国の大学・高専に対して注意喚起しています。
教育者・学生それぞれが、適切に活用できるよう環境整備をすることが大切です。
参考:大学・高専における生成AIの教学面の取扱いについて(周知)/文部科学省
3.評価が難しくなる
チャットGPTが提出物に利用されている場合、どこまで理解しているのか判断しにくくなり、評価の公平性が失われる恐れがあります。
また、チャットGPTを利用して課題を提出した学生が何人かいた場合、内容が似てしまうこともあるでしょう。



教師側もチャットGPTの知識やスキルが求められます。
生成AIをだれでも気軽に使えるようになった今、評価する側が理解していなければ、公正なジャッジをするのは厳しいでしょう。
4.情報の正確性を確認する必要がある
チャットGPTの回答は、情報の正確性を確認する必要があります。



チャットGPTの学習データは、Web上の記事などさまざまな情報源から収集しています。
すべてが一次情報(科学的根拠のある話や本人の体験、感想など)ではなく、だれが言ったかもわからないため、注意しなければなりません。
5.生成された回答が正しいのか批判的に考える
生成された回答は間違っていたり考えが偏っていたりする可能性があります。回答に疑問を持ち、批判的に考え根拠をチェックする必要があるでしょう。



自分で意見や解決策を考えるようにすることで、問題解決能力が養われます!
最終的な主導権は、人間にあることを忘れないでくださいね。
本記事を参考にチャットGPTの注意点や対策を理解し、うまく使いこなしていきましょう。
なお、AIやRPAが発展する未来で生き残るための情報は「フューチャリスト友村晋のYouTubeチャンネル」でも発信しています。今後のキャリア戦略の検討にぜひご活用ください!
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また、最新AIの話題について「社員にも講演や研修をしてほしい!」という方は、以下から出張講演も承っていますので、お気軽に問い合わせください!