「ChatGPTの社内利用の事例を知りたい」
「ChatGPTはどのような企業で導入しているのだろうか」
「ChatGPTを社内で利用するリスクは?」
OpenAIがChatGPTを発表してから、日本企業での導入も進んでいます。ChatGPTの利用で、生産性の向上が認められるようになった企業も出はじめています。
そのため、自社での導入を検討している方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では『2030未来のビジネススキル19』の著者で、未来予測のプロであるフューチャリスト友村晋が以下の内容を解説します!
- ChatGPTを社内利用すべき3つの理由
- ChatGPTの社内利用における事例・企業・自治体を紹介
- 社内利用するときの5つのリスクと対策
ChatGPTを適切に利用すれば業務の効率化、顧客満足度の向上などにつながります。今後生き残れる会社を作るための参考にしてください。
なお僕は、自治体や企業様でChatGPTのセミナーを開催しています。受講者様からは「今までなんとなく不安だったものが、霧が晴れたようにすっきりして、やるべき方向性が見えた」などのお声をいただいています。ぜひ以下のボタンから詳細をご確認ください。
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ChatGPTを社内利用すべき3つの理由
ChatGPTはさまざまな企業で導入されるようになりました。社内で利用すべき理由は以下の3つです。
- 業務の効率化ができる
- 品質の向上につながる
- 顧客満足度の向上が期待できる
それぞれ詳しく解説しますので、導入の参考にしてみてください。
1.業務の効率化ができる
ChatGPTを導入する最大のメリットは、社内業務の効率化です。
文章や資料の作成・翻訳など、人間が時間をかけて行なっていたことを短時間で行えます。人間らしい文章で回答してくれるため、違和感なく使用できるでしょう。
社員の負担が軽減し、人材不足の解消が期待できます。
人間は人間にしかできない「クリエイティブ」な作業に力を注げるようになっていきます!
2.品質の向上につながる
ChatGPTにより自動化できる業務の範囲が広がれば、人による仕事のクオリティの差やヒューマンエラーを少なくしていけます。単純なミスが減ることで業務の品質が向上するのです。
さらにChatGPTは、物知り博士として良き相談相手になってくれます!
世の中のさまざまな知識を大量に学習しているため、聞いた分だけネット上のあらゆる情報を調べて返してくれます。
不足している知識を補足してもらうことで、自分ひとりでは到達できないところまでアイデアを具体化できるでしょう。
繰り返し相談にも乗ってくれるため、アイデアをブラッシュアップできますよ。
3.顧客満足度の向上が期待できる
ChatGPTをカスタマーサービスに利用すると、顧客からの問い合わせに即座に対応できるようになります。
待ち時間を大幅に減らせるため、顧客満足度の向上が期待できます。
ChatGPTは、人間のように休む必要はないので、24時間365日対応可能です。
なお、ChatGPTで対応できるのは、単なる問い合わせだけではありません。
以下のようなデータを学習して、最適な商品の提案や案内も可能です。
- 顧客との対話のなかで得たデータ
- 過去の購入履歴
- サイト内の行動
顧客は欲しいときに欲しい情報が手に入るため、満足度が高まっていくでしょう。
なお、ChatGPTがビジネスマンにとってどれほど重要なのかは、関連動画「チャットGPTの使い方を初心者にもわかりやすく解説。チャットGPTとは?その使い方、活用方法は?「GPT-4」とは【openAIのChatGPTとBard】AIが世界を変える?」で解説しています。
すべての日本人に関係のある内容なので、記事とあわせてチェックしてみてください!
ChatGPTの社内利用における事例5選を紹介
ChatGPTは社内でどのような業務に利用されているのでしょうか。具体的な事例を5つ紹介します。
- 議事録や資料の作成
- 社内データの検索
- プログラミング
- 企画のアイデア出し
- 社内や顧客からの問い合わせ対応
事例を参考に、自社では何ができるか検討してもらえるとうれしいです!
1.議事録や資料の作成
ChatGPTの文章作成力と自然言語処理技術により、多種多様な文章を生成できます。会議やセミナーの議事録、資料作成にも対応可能です。
文字起こし機能を使用すると自動的に議事録ができあがり、指定文字数への要約もできます!
具体的なプロンプト(テキストによる指示)の入力により、希望に近い内容の文章を生成してくれます。今まで費やしていた時間を短縮でき、効率化できるでしょう。
2.社内データの検索
ChatGPTの活用により、蓄積された社内データから必要な情報をすばやく検索できます。
これまでは、データ化したドキュメントを探す手間や時間がかかっていましたが、ChatGPTを使用することで労力を軽減できるのです。
ファイル内に眠っている以下のデータの検索がスピーディーに実行できます!
- レポート
- メール
- プロジェクト資料
ただし、利用するためには、アプリケーションの導入やプラグインの開発が必要になってきます。
とはいえ、無料で簡単に利用できるものも多いため、まずはやってみることが重要です。
3.プログラミング
プログラミングはChatGPTが得意としていることです。PythonやJava Scriptなど主要な言語に対応しており、おもに以下の作業が可能です。
- コード生成
- コードレビュー(バグチェック)
- エラーメッセージの解読
コード生成には、具体的なプロンプトの入力が欠かせません。
ちなみにコードレビューとは、プログラムを構成するソースコードの確認作業のことで、コードの質を高めるために大切です。エラーメッセージが出た場合は、ChatGPTに解読してもらい、エラーの解消をサポートしてもらいましょう。
4.企画のアイデアだし
企画のアイデア出しにもChatGPTは活躍してくれます。たとえば商品を販売したい場合、営業方法や効果的な広告、キャッチコピーについてのアイデアをもらえます。
プロンプトを工夫することで、さまざまな回答を得られるでしょう。
新たな発想も生まれるため、社内業務や顧客サービスに活かせます。
5.社内や顧客からの問い合わせ対応
ChatGPTは、社内や顧客からの問い合わせにも対応できます。
あらかじめ必要な情報を学習させておくと、簡単な文章の入力だけで即座に回答を得られるのです。担当者の手間を省けるため、業務に集中できるようになります。
質問者もすぐ知りたいことがわかるため、双方にメリットがあるといえます!
なお、ChatGPTが変える働き方については、「鳥取県はチャットGPTを禁止!?チャットgptで仕事を作る人、奪われる人!ChatGPTが変える働き方、一番良い使い方は?」でも詳しく解説しています。
今は庁内でChatGPTを活用している鳥取県ですが、当時の情報から見解を述べているので、ぜひチェックしてみてください。
ChatGPTを社内利用している企業・自治体5つ
ChatGPTをすでに社内で利用している企業や自治体があります。ここでは以下の5つの企業・自治体を紹介します。
- 株式会社ベネッセホールディングス
- 日清食品株式会社
- 伊藤忠商事株式会社
- 東京都
- 兵庫県神戸市
一つずつみていきましょう。
1.株式会社ベネッセホールディングス
株式会社ベネッセホールディングスでは、社員の業務効率化と、新商品サービスの検討をできる環境として、社内AIチャット「Benesse GPT」を開発。
2023年4月よりグループ社員向けに運用を開始しています。
社員はイントラネット上でいつでもAIチャットサービスを使用できるようになりました。
実際に活用も進んでいるようです。たとえば、どういったサービスが選ばれるのかについて社員で議論になったとき、中立的な意見をChatGPTに出してもらったとのこと。
偏った認識を防ぐためにAIにも意見を求めるといった使い方が社内で話題になったようです。
なお、ベネッセホールディングスはDXの推進にも力を入れていて、最先端のテクノロジーの活用を積極的に進めています。これからの取り組みに目が離せない企業のひとつです。
参考:PR TIMES「社内AIチャット「Benesse GPT」を グループ社員1.5万人に向けに提供開始」
参考:ITmedia「「自社版ChatGPT」をグループ全社導入 約1万5000人で2カ月使った手応えは? ベネッセに聞いた」
2.日清食品株式会社
日清食品株式会社は、社員の生産性を向上し、クリエイティブな活動に時間を費やせるようにするため、自社開発の「NISSIN AI-chat」の利用を開始しました。
文章制作や要約、情報収集、アイデア出しなどで活用を進めています。
生成AIは人間が命令しないと動かないため、いかにうまく利用するかが重要です。
そこで日清食品では、独自のプロンプトエンジニアリング(生成AIに対する命令を最適化して目的の回答を得るプロセス)の研修も行っています。
社員がAIをうまく使いこなすためのバックアップも万全で、活用に対する本気度を感じます。
参考:経済産業省「日清食品グループにおける生成AI活用の現在地」
3.伊藤忠商事株式会社
伊藤忠商事は2023年5月、ChatGPTを活用して業務改革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AIラボ」を、株式会社ブレインパッドと共同設立しました。
さらに同年7月からは、セキュリティを確保した状態でChatGPTを利用できる環境を全従業員(約4,200名)に提供しています。
大企業がもつ社内リソースのアドバンテージを十分に使いながら、生成AIによる生産性向上と新規事業開発の実現を目指しているとのことです。
生成AIの利用に対してかなり前向きに取り組んでいる様子がうかがえますね!
参考:ChatGPT等の生成AIを用いた企業の業務変革や新規ビジネス開発支援を行う「生成AI研究ラボ」の設立について
4.東京都
東京都では、2023年4月に生成AIに関するプロジェクトチームを立ち上げて、生成AIの業務への活用を走りながら模索しています。
同年6月の小池都知事定例記者会見では、生成AIの利用について明らかにしています。その後8月より全部局での利用を開始しました。
情報漏洩を防ぎつつ、生産性向上を目指すため、有識者からのヒアリングも参考に文章生成AI利活用ガイドラインを作成しています。
使い方のアイデア出しでは、以下のような意見が出ており、特性を理解したうえで積極的な活用が進んでいきそうです!
GOOD(^^)
「アイデア出しやベストプラクティスを調べるのに使えそう」
「公務員的な意見だけではなく、新しい観点がもらえる」
「Excelの関数やVBAマクロ、プログラムなどを簡単に作成できる」BAD(-_-;)
引用:東京都公式note「何に使う?どう使う?「生成AI」活用に向けた“東京都の今”」
「根拠・説明が求められるような仕事にはつかえなそう」
「最終的には人間のチェックが必要」
「AIはたまに間違える。間違いを見抜ける仕組みづくりが必要」
今後は、職員への周知や勉強会などを行ない、導入効果の検証を進めていくこととしています。
参考:何に使う?どう使う?「生成AI」活用に向けた“東京都の今”/東京都公式note
5.兵庫県神戸市
兵庫県神戸市では全国に先駆けて、ChatGPTをはじめとする生成AIについての条例を制定し、2023年6月より3カ月間試行を実施しました。
企画立案や事業実施、検証、その他の内部事務についてChatGPTを活用することを想定しています。
試行中・試行後のアンケート調査によると、9割以上の人が「仕事効率が向上する」と回答。内容に関しては、Excel関数やプログラミングコードの生成で、高い評価が出ていました。
結果を受け、神戸市は独自の利用環境を構築、本格利用の準備を進めています。
参考:神戸市生成AIの利用ガイドライン
参考:神戸市におけるChatGPT試行利用検証報告書
なお、僕はChatGPTのセミナーを出張を承っており、社内研修としても利用いただいています。自治体でも好評をいただいている内容になっているので、ぜひ以下のボタンから詳細を確認してみてくださいね!
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ChatGPTを社内利用するときの5つのリスクと対策
社内でChatGPTを利用する場合リスクもあるため、しっかりと対策をとる必要があります。5つのリスク・注意点と対策は以下の通りです。
- 情報漏えいのリスクがある
- 正確ではない回答を生成する場合がある
- システムを導入するコストがかかる
- 質の高いプロンプトを入力する必要がある
- システム障害やアクセス過多によるエラーがある
ChatGPTを社内で利用する場合、ぜひ参考にしてみてください!
1.情報漏えいのリスクがある
ChatGPTに入力した情報は、学習データとして利用される可能性があります。
入力したデータは回答で利用される恐れもあり、意図していなくても外部に情報が漏れる可能性があるのです。
リスクを回避するためには、以下の対策をとるといいでしょう。
- 社内での規約を作り、周知徹底する
- 利用の仕方について研修を行う
- 機密情報や個人情報を入力しない
- 学習を無効化する設定を行う
これらの対策をとり、安全にサービスを利用できるようにしてください。
なお、ChatGPTがもたらす5つの危険性については、「【徹底解説】ChatGPTがもたらす5つの危険性|メリットや使いこなすコツも紹介」で詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。
2.正確ではない回答を生成する場合がある
ChatGPTが生成する回答は、全て正しいとは限りません。間違っている可能性もあるのです。
AIは学習するデータをもとに回答するだけで、間違っているかどうかは判断できません…!
学習するデータは随時アップデートされているわけではないため、情報が古いこともあります。
リスクを回避するための対策は、以下の通りです。
- 情報が正しいか、発信源が信頼性のある人や機関かをチェックする
- HPや書籍などで確認する
- 他の社員にもみてもらいダブルチェックを行う
ChatGPTの情報は、あくまでもサポート的に利用するようにしましょう。
3.システムを導入するコストがかかる
ChatGPTを社内で利用するためには、システム開発やアプリの導入を行う必要があり、コストが発生します。また導入時だけでなく、その後の運用コストもかかります。
システム導入は専門的な知識が必要であり、スキルのある人材の採用や、外部からの支援などが必要となるでしょう。
コストに対する対策は以下の通りです。
- 初期費用だけでなく、長期的なコストも考慮し導入する
- 自社でデジタル人材やDX人材を育成する
ChatGPTはどんどん進化していくため、自社で人材育成をすすめるようにしましょう。
なお、デジタルを使いこなせる人材の育成については、関連記事「【知らないと損】デジタル人材の育成が必要な3つの理由とは?課題や育成のポイントも解説」で解説しています。
人材育成は避けては通れないものなので、ぜひ参考にしてください。
4.質の高いプロンプトを入力する必要がある
目的に合った回答を得るには、質の高いプロンプトを入力しなければなりません。
質の低いプロンプトの場合、意図していない回答を生成する可能性があり、作業効率の低下が考えられます。
効果的なプロンプトにするための対策は、以下の通りです。
- ChatGPTに役割を与える
- 前提条件や課題を具体的に入力する
- 文字数、箇条書きなど出力形式を指定する
- 繰り返し質問し、精度を高める
社内で利用する場合は、使用マニュアルの作成をおすすめします。
ChatGPTの正しい使い方は、「【知らないとやばい】チャットGPTが抱える7つの問題点!今すぐできる解決策5選を解説」でもお伝えしています。あわせてお読みいただき、利用時に役立ててください。
5.システム障害やアクセス過多によるエラーがある
ChatGPTは、サーバー側でシステム障害が起こったり、アクセス過多でつながらなかったりするときがあり、作業効率が低下する可能性もあります。
エラーに対する対策は以下の通りです。
- しばらく時間をおいてからアクセスする
- OpenAIの公式サイトで情報を確認する
基本的にユーザー側でできることはありませんが、まずは15分ほど時間をおいてからアクセスするようにしましょう。
それでもダメなら公式サイトで不具合のアナウンスが出ていないかを確認してください。速報はX(旧Twitter)の公式アカウントで発信しているケースもあるので、あわせて確認してみてくださいね。
ChatGPTを適切に使用すれば、業務効率や生産性の向上につながります。
効率化できた時間を「人間しかできないクリエイティブな仕事」に回せれば、社会はもっと良くなると僕は考えます!
ChatGPTをうまく使いこなして、2030年も生き残れる会社を目指しましょう!
なお、AIやRPAが発展する未来で生き残るための情報は、「フューチャリスト友村晋のYouTubeチャンネル」でも発信しています。今後のキャリア戦略の検討に、ぜひご活用ください!
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また、最新AIの話題について「社員にも講演や研修をしてほしい!」という方は、以下から出張講演も承っていますので、お気軽に問い合わせください!